炎上事例/デジタル・クライシス事例

人気アイドルグループメンバーの「内部告発」。
予期せぬ損害を避けるために、企業が取るべき対策は?

人気アイドルグループメンバーの「内部告発」。 予期せぬ損害を避けるために、企業が取るべき対策は?

「スター街道を一直線」。女性アイドルグループNは、そんな言葉がぴったりの人気を誇っていました。2015年に地方で結成されて以来、地元のテレビとラジオの両方で冠番組を持ち、グループの名前を冠する専用劇場も完成、東京都心のホールで単独コンサートを成功させた後はシングル曲でメジャーデビューを果たし、全国制覇を印象付ける週間チャート1位にも輝きました。

ところが、順風満帆に見えた人気は突然の「事件」で急ブレーキを余儀なくされます。
その事件とは、メンバーの1人が暴行被害を受けたというものでした。
アイドルが凶行の標的にされたという事実は、世の中に衝撃を与えました。

動画配信サイトで被害メンバーが自ら被害を告白

しかし、本当の衝撃は、この事件が明るみに出たきっかけにあったのです。

事件が発生した際、警察当局は事実関係を公表しませんでした。それではなぜ、被害が表沙汰になったのでしょうか? 
それを打ち明けたのは他でもない、被害者自身だったのです。動画配信サイトで事件について泣きながら語った彼女の姿は、アイドルのイメージとはかけ離れたものでした。

さらに驚かされたのは、その発言内容です。
恐怖を味わったことに対する彼女の怒りは、他のメンバーが取った行動や、グループ運営会社の危機管理対応にも向けられました。
まさに「内部告発」の様相で、運営会社を「事件が起こった後も何もしてくれなかった」と批判。運営会社がどう釈明するのか注目されたのは当然です。
しかし、運営会社の釈明は機敏さと説得力を欠いたものでした。納得しないファンらを巻き込んだ混乱は収束するどころか、さらに激しさを増したのです。

今回の事件は、内部告発で企業に損害が発生した典型例と言えます。一体何が起こったのか、詳しい経緯をたどってみます。

運営会社の危機管理対応を批判

2019年1月9日、テレビの全国ニュースで、ある事件が報じられました。
アイドルグループNのメンバーが公演を終えて帰宅した際、玄関先で待ち受けていた2人の男に顔をつかまれるなどの暴行被害を受けていたというのです。

報道のきっかけは前日の1月8日、被害者であるメンバー自身が動画配信サイトで事実関係を明かしたことでした。
それによると、事件が起こったのは投稿から1カ月前の2018年12月8日。彼女は、他のメンバーが自分の自宅住所などの個人情報を犯人に教えていたことや、グループの運営会社が事件後もまったく対処してくれなかったことなども打ち明けました。

内部告発で「炎上」が続出。「犯人捜し」も横行

「身内」を批判する発言は、内部告発そのものでした。インターネット上では「どのメンバーが事件に関与したのか」と憶測に基づく犯人捜しが始まるとともに、運営会社に対する非難が殺到し、次々と「炎上」する事態に陥りました。

事件の公表すらしていなかった運営会社にとって、被害者の言動は何もかも寝耳に水だったことでしょう。しかし、内部告発を受けるという非常事態に陥ったにも関わらず、運営会社は「静観」の構えを取り続けます。

1月10日の新聞報道によると、取材に対する回答は「担当者が不在でお答えできない」というものでした。
運営会社は同日のグループ公演終了後、公式サイトでコメントを発表、他のメンバーが被害者の帰宅時刻を犯人に教えていたことを認めました。
しかし、1月11日の新聞取材に対しては、現時点で新たに調査結果を公表する予定はないと説明、会見なども行わない考えを示したのです。

こうした態度に、ファンらが憤ったのは当然と言えるでしょう。
運営会社は一転して会見を開くことにしましたが、実現したのは1月14日のこと。動画配信サイトでの告発から6日、事件発生からは1カ月以上もたっていました。

会見では「警察の捜査状況を見守っていた」と対応の遅れを謝罪、第三者委員会を設置して事件の顛末を調査することも表明しました。
全メンバーに対する防犯ベル支給や各自の自宅巡回の徹底といった再発防止策も約束しましたが、最も重要な点、つまり事件の全容についての説明がありませんでした。
この結果、いったん火がついてしまった犯人捜しは沈静化せず、怪しげな噂が飛び交う状況が続いたのです。

炎上後の混乱を長引かせたことで事態は泥沼に

今回の事件が混乱に陥った要因は、4点にまとめることができます。

  • 運営会社が被害者へのケアを怠ったため、被害者が内部告発せざるを得ない精神状態に追い込まれた。
  • 運営会社が情報開示する前に、被害者自身が個人的見解を公表した。
  • 内部告発があってから運営会社がコメントを公開するまでに時間がかかり、根も葉もない推測が横行した。
  • 原因分析のないまま示された再発防止策が不十分で、説得力に欠けた。

混乱はさらに長引きます。3月には運営会社が第三者委員会の調査結果を受けて再び会見に臨みましたが、その結論は「事件に関与したメンバーはいなかった」というものでした。

これに対し、被害を受けたメンバーは「うそばかり」などと会見中にTwitterで反論。
想定外の成り行きにしどろもどろするばかりの運営会社は、さらに激しい非難を浴びることになってしまいました。

当然ながら、一連の騒動によるダメージは運営会社ばかりでなく、グループN全体にも及びました。冠番組はすべて終了・休止され、出演していたCMも放送中止に。
大規模な公的イベントのPR役として任命されていたスペシャルサポーターも降板に追い込まれたのです。

事件発覚後、一時閉鎖に追い込まれていた専用劇場で通常公演が再開されたのは8月に入ってからでした。内部告発による混乱は、誰にも利益を生まないという側面を突き付けたと言えます。

「内部告発」がない体制づくりを

SNSや動画配信ツールの普及で、内部告発と「炎上」のリスクは高まっています。
今回の事件のように、これらのリスクをめぐる企業の対応は売上やブランドイメージに大きく影響します。

内部告発が起きないためには、社員一人ひとりに耳を傾け意見を取り入れる体制作りを徹底することが第一に必要とされます。

しかし万が一、SNS運営側に対する問題投稿の削除依頼や投稿主の特定など、企業にとって好ましくない事態を沈静化するための方策も欠かせません。個人情報の取り扱いや情報漏えいなどネット上のあらゆるトラブルに即時対応できる体制づくりが効果的です。

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